伝統文化講座
後藤真起子先生追悼文
皆様へ
2021年1月16日、恵光センター筝曲コース担当の後藤真起子先生が、オランダのご居所でお亡くなりになりました。
突然の訃報に接した当初は、コース参加者および職員一同、悲しみという感情を奪い取られて、ただただ茫然自失としておりました。ですが、しばらく経て振り返って見れば、私達にとって意味ある存在を失ったという、悔やんでも悔やみきれない思いが湧き起ってきます。
後藤先生は、1992年オランダで本格的な演奏活動を始められました。当惠光センターでは1994年のコース設立当初から26年という長きにわたって、ドイツの興味ある人に対して筝の紹介や演奏指導にご尽力されました。
あるいはまた、次のような次世代に合わせた活動もなさっていました。それぞれに異なった文化に育った子供同士が楽器を介して親しく触れ合い、新たな文化の局面を切り開くことを願って設立された沢井ユニバーサル子供文化交流会は、後藤先生のご功績の一つです。
後藤真起子先生の生き方と一つになっている箏曲演奏の原点には、西洋楽器とのコラボレーション等に見られるように、開拓者精神あふれる積極性がありました。またお人柄は、人情味に溢れ、真摯で、びっくりするほど飾らない、気さくなお方でした。
後藤先生の生きざまは、後に続くわれわれにとっての指針でした。今にして思えば、どれだけ多くのものを後藤先生からお伝えいただいたか計り知れません 。
先生のみ教えは、尊い教訓として、私どもの胸裡に深く刻まれています 。
お別れするに当って、後藤先生ご存命中のご功績を讃え、その深重の御恩を謝しつつ、職員一同、謹んで哀悼の意を表したく存じます。